オイルレザーについて

こんにちは。鞄工房山本メンズバッグセレクトショップの伊藤です。「オイルレザー」という革をご存じでしょうか?オイルレザー、普通の革といったい何が違うの?って思いながらも正直、何が違うのかよくわからないですね。ってことで今回はオイルレザーについて書いてみたいと思います。

今さら聞けない!オイルレザーとは?

オイルレザーは、革になめしを施す際にオイルを染み込ませた革のことです。画像は当店のオイルバケッタ・ボストンバッグ(大)。どうですかこのオイル感、やばいでしょ。オイルレザーは革の繊維にまでオイルを染み込ませているので、しっとりとした触り心地とオイルによる湿りをおびた表情が特徴です。オイルの加減で表情が変わるのでオイルの含有量が多いほど深みが出せますが、革自体の重量は含んだオイルの分だけ重たくなります。あと衣服への色移りなんかも気になるところ。なお Made in USA の製品ではこれでもくらえとばかりにガツンとオイルが入ってるものが多いです。「どうだ、色が移るほどたっぷり入れてあるぞ」とか「汚れ?大丈夫だ、汚れてもいい服を着ろよ」とか、なんかもうどいつもこいつもそんな感じ。いいんだよ、細けえ事は!のひとことで、すべて解決です。

オイルレザーの作り方

加工法はもちろんメーカー(タンナー)によって異なりますが、一般的にはなめし作業の際、タイコと呼ばれる大きな木製の樽に入れ、回転させることで生まれる遠心力と樽にぶつかる衝撃でオイルを染み込ませていきます。出来上がってみないと革の仕上がり具合がわからないため、この作業には長年の経験と勘が重要となります。そして長年の経験と勘でもアゥレレェ?ってなることも。一般的な革よりも製作に手間と時間が掛かるのと、オイルを入れる加工賃も加わるので、どっちかというと高価になる傾向です。

使うとどうなる?オイルレザー

革は乾燥することで繊維が劣化していきます。特に水に濡れた後の乾燥では革の中の水分や栄養素までもが失われてしまいます。よく革を水に濡らすのは厳禁と言われるのはこのためです。革は元たどれば動物の皮、わたしたち人間のお肌と一緒です。そのため革を水濡れと乾燥から守る方法としてオイルを加える手法が生み出されました。本来は防水効果のためだったオイル加工ですが、現在では素材表現の1つとして施されることが多くなっています。オイルレザーに含まれたオイルは革を保護するのと同時に、浸透したオイルが革に馴染んでいくことで艶が生じてきます。よいオイルレザーは使い続けることで「革を育てる」という楽しみを味わうことができる革なのです。

傷が消える? 魔法の革オイルレザー

こちらは生(き)の表情が残った革。至るところキズだらけで、侠客立ちの花山薫さんみたいです。革の風合いを生かすために顔料を使って傷を消していないので、どうしても残ってしまうのです。でも最近はこういう革がめっきりなくなりました。加工を施さない革は爪などですぐに傷がつきやすいのですが、オイルレザーでは革が柔らかくなることでキズが入りやすくなります。え、いいことないやんかと思うかもしれませんが、大丈夫。オイルを含んだことにより指先でこすったり揉んだりすると傷が目立たなくなるのです。あまりに見事に消えるので「傷が消える」という表現をすることもあります。でも、オイルの油分が少なくなると保護効果も薄れてきますので、保革用のクリームでしっかりケアしてあげてくださいね。グリグリっと。

味わいか、それとも使いやすさか

最初にお伝えした通り、オイルが多く入った革ほど味わい深さや経年変化の妙をより強く感じることができるのですが、製品の重量が重くなったり、色移りのリスクが生じます。現在の傾向としては、革に色止め加工や表面を整える加工を施すことが多く、表情ゆたかな革製品が少なくなっています。「均一で安定した品質」の革が供給できるというのは産業的には素晴らしいことですが、その反面「どこから切っても同じ顔、金太郎アメ」な革というのは、いかがでしょうか。これは善悪の問題ではありませんが、たとえば上の画像のような革を作ることはできないんです。光あるところに影がある …何というか、いろいろ考えたくなってしまう問題であります。

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