柿渋染め帆布

柿渋染め製品画像1

こんにちは。鞄工房山本メンズバッグセレクトショップの伊藤です。伝統的な日本の技術と独特の染めから生まれた趣のある素材で、革よりも軽くて丈夫、いわば帆布の最高級品ともいえるのが柿渋染め帆布です。当店取扱いの柿渋染めは6号帆布という頑丈な布に柿渋染めを何度も繰り返すことにより、より強固さを増しており、抗菌性や撥水性も兼ね備えております。伝統の技法と現代の感性をおりまぜた他の素材にはない独特のテイストが味わえます。

柿渋とは?
柿渋は、青柿を砕いて絞った汁を、発酵熟成させた天然染料です。柿から抽出されるタンニンにより塗布物に防虫、防腐、耐水性を与える性質があるため、柿渋を塗ることにより丈夫で、防腐性・防水性のある生地になります。日本では昔から漁網、酒袋、和傘、漆器など、水回りのものを中心に幅広く利用されてきました。たとえば私の祖母(大正生まれの乙女)が幼い頃は、柿渋染めで和紙を固めて作った火鉢を自作していたそうです。近年、化学塗料の普及と共に影をひそめていましたが、現在では再び、その価値が注目され、さまざまな用途での利用を見直されています。

柿渋染めの特徴

※効果はすべて天然の柿渋によるものですので化学染料や薬品の効果との違いがございますことを予めご了承ください。

染め上げるのに1カ月、さらに生地を寝かせる期間およそ2か月。

渋柿家のバッグには6号帆布という厚手の平織の生地が使用されています。柿渋染めにこだわり続けた長年の研究によって6号帆布が最も柿渋染めバッグに適しているという結論にいたりました。しかし、厚く強固な6号帆布に柿渋の染料を染み込ませるのは難しく、バッグの生地として使えるまでにおよそ3カ月の時間が必要となります。それでも独自の技法と柿渋に対する妥協しないこだわりが他の追随をゆるさない独自の個性を生み出しました。

縫製がきわめて困難。ミシンの針が折れるほどの頑丈な素材をまとめ上げております

バッグの縫製で一部に布の縫い目が一直線でない箇所がございますが、それは使用している帆布がもともと頑丈であり、さらに柿渋染めを何度も繰り返し行うことでより強固な素材に仕上がっているためです。針を通せる箇所がなくなるくらいに繊維が吸着し合あった布の中を、針が通りやすい箇所を通って縫っているため縫製のラインが一直線にとれない箇所がでてきているのです。

最後に柿渋染めのつながりで、ちょっと面白い生地をご紹介します。清酒造りに欠かせなかった道具、酒袋です。

酒袋とは
酒袋(さかぶくろ)は、造り酒屋で「もろみ」を入れてお酒を絞るのに用いた袋です。酒袋は帆布に柿渋を塗って作られていますので、柿渋染め帆布のオリジンともいえる存在。


この酒袋は、造り酒屋さんが廃業された際に縁あって頂いたものです。

長年使い続けたためかあちこちにほつれが生じていますが、その都度、修繕された跡が。繕いながらずっと大切に使われていたことが伺えます。まるでムカデのようなこの特徴的な繕いは、生地を彩る力強いアクセントにすらなっています。一時はこの酒袋の生地を使っての商品も考えましたが、造り酒屋さんで昔ながらに酒袋を使っているところは皆無でした。そもそも何年もかけて道具として使われているため、調達性は限りなく0に近い柿渋染めの酒袋ですが、もはやデッドストック以外では入手不可というきわめて厳しい状況なのです。この貴重な生地、そのうち鞄に生まれ変わらせてやろうかと考えております。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です